わが国の財政は、行財政改革が進展したとしても、直ちに好転するとは考えにくく、移転コストとその効果の論議は、今後いっそう高まってくる。従って、財政上の理由による新首都着工の延期を契機に、費用対効果の面から、首都機能の形成のあり方−集中型か分散型か−についても検討を加える必要がある。
本会は、県境を越えて首都機能(国会、省庁の中枢部門、最高裁判所)を分散させること「分散型分都」が望ましいと考える。
メリットは、既存の多様な社会基盤を活用できること、新たな一極集中を回避できること、危機管理を行いやすいこと、地域の連携と交流を推進できること、多くの地域が投資効果を享受できることなどにある。また、首都機能を受け入れる地域にとっても、自然環境の悪化、交通渋滞の激化、廃棄物の増加、地域コミュニティーの崩壊など、予想される弊害が軽減される。
デメリットとしては、国政の機能性・効率性を損なうことなどが挙げられるが、分散の範囲を限定することのほか、高度な情報通信機能を整備すること、緊密な連携を要する機関は同一のクラスター内に置くことなどにより、これを緩和させることが可能である。
移転先地(クラスター)はすべて、既存都市の社会基盤を活用することが可能で、かつ、用地取得費のかからない公有地とする。具体的には、複数ある公有地のなかから、活用できる社会基盤の種類、安全性、造成コストなどを基準に、候補となる公有地をリストアップして、それらをつなぐ方式により首都機能を形成する。
昨年実施した会員対象のアンケート調査では、首都機能を「特定の地域に集中させる」より「県域を越えた他の地域との連携を図りつつ、分散させる」ことを支持する結果が出ている。
なお、岐阜東濃地域を含む東海地域(岐阜・静岡・愛知・三重県)は、わが国の中央に位置するとともに、中部新国際空港の着工や国際博覧会の開催を控え、多様な社会基盤が整備されつつあり、「分散型分都」を実現する絶好の圏域である。
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